① 基本理念の確立
複数の事業者が提携して事業を行うために は、共同事業の基本的な目的について関係者間 で合意が形成されていなければならない。同業 種共同配送の基本理念を参加事業者間の協議に より確立することが必要である。
② リーダーの確保
同業種共同配送は本来利害が対立する事業者
間で行なわれるため、参加事業者間の利害調整 が必要となる。このため、意思決定能力、統率 能力、問題解決能力等を備えたリーダーが必要 である。
③ 参加事業者間の信頼関係の形成
同業種共同配送が成功するためには、参加事 業者間で信頼関係が形成されていなければなら ない。例えば、同業種共同配送システムを構築 するとき、参加事業者から対象商品の販売先構 成や納品価格等の機密情報が提供されることが 必要となるが、このためには、これらの情報が 目的外に利用されないという信頼関係の形成が 前提となる。
④ 既存物流事業者との役割分担
参加事業者が、これまで取引していた物流事 業者の収益機会が失われることを懸念して、同 業種共同配送が立ち上がらないケースがある。
このため、同業種共同配送の実施後における既 存物流事業者との役割分担を明確にすることが 必要である。
⑤ 公平なコスト分担/利益配分ルールの設定 同業種共同配送が成功するためには、すべて の参加事業者が等しくメリットを享受すること が必要となるため、公平なコスト分担/利益配 分ルールの設定がポイントとなる。
⑥ 情報システムの積極的な導入
今日物流を効率化し、顧客ニーズに応えるた めには、EDI等の情報システムの利用が不可 欠となっている。同業種共同配送も例外ではな く、情報システムの利用により、輸配送計画の 自動化、リードタイムの短縮、貨物追跡情報の 提供等、効率的で品質の高い物流サービスを提 供することが必須である。
⑦ 荷姿、伝票様式等の標準化
同業種共同配送では多くの荷主の商品を扱う ため、保管・荷役や事務等の作業の効率化のた めには、荷姿や伝票様式等を標準化することが
必要である。
⑧ 定時一括配送ルールの徹底
同業種共同配送では、輸配送依頼締切時刻や 集配送時刻等を定時化していなければ成立しな いため、定時一括配送ルールを徹底しなければ ならない。
⑨ 独占禁止法の遵守
同業種共同配送は、競争関係にある事業者間 の共同事業であるため、事業が競争を阻害する ことにより独占禁止法に抵触することがないよ う留意しなければならない。例えば、同業種共 同配送の検討組織は独占禁止法上の事業者団体 に相当するため、事業者団体成立届を公正取引 委員会に提出しなければならない。また、参加 ルールについても脱退の制限、参加の強制等が あってはならない。
6.おわりに
同業種共同配送は、物流コスト削減の有効な手 段であり、かつ、地球環境に配慮した配送手段と して企業のイメージアップにもなるため、荷主に 今後ますます着目されるものと考えられる。この ため、「提案型物流」の重要性が叫ばれる今日、
物流事業者において、同システムは独自の物流サ ービスを展開するための企業戦略の重要な柱にな ると考えられる。
今回の調査成果を踏まえ、「同業種共同配送推 進マニュアル」としてまとめ、巻末に載せた。同 業種共同配送システムが多くの企業間で導入さ れ、物流の効率化、地球環境の保全に役立つこと を期待したい。
報告書:「同業種共同配送システムの推進に関する 調査」
(資料番号110022)、A4版 269頁
報告書目次;
本編
Ⅰ.本調査の目的
Ⅱ.同業種共同配送とは
Ⅲ.同業種共同配送に対する事業者ニーズの把握
Ⅳ.同業種共同配送の先進事例
Ⅴ.同業種共同配送システムの構築のポイント
Ⅵ.おわりに マニュアル編
Ⅰ.マニュアル策定の目的
Ⅱ.同業種共同配送の理解のために
Ⅲ.物流事業者の提案による同業種共同配送の具 体的な進め方
資料編
Ⅰ.先進事例
Ⅱ.アンケート調査結果
Ⅲ.アンケート調査票
【担当者名;大根田秀明、鈴木和実】
【本調査研究は、日本財団の補助金を受けて実施し たものである】
運輸政策研究機構
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-18-19虎ノ門マリンビル TEL:03-5470-8405 FAX:03-5470-8401
財団 法人
1.事業の目的
わが国は現在、 6 5歳以上の高齢者人口が約1 5%
に達し、今後、ますます高齢化の進行が予測され ている。また、ノーマライゼーションの理念の浸 透・普及とともに身体障害者の社会参加の機会が 増大している。それに伴い、高齢者・心身障害者 等のいわゆる移動制約者の交通手段確保が大きな 社会的課題になっている。
移動制約者の人々が公共交通機関を利用して移 動する際に、安全かつ身体的負担が従来より軽く なるような車両構造に関するモデルデザインにつ いては、平成元年度に3年間の調査研究成果とし てまとめた『心身障害者・高齢者のための公共交 通機関の車両構造に関するモデルデザイン』があ る。同モデルデザインでは、鉄道・バス・タクシ ーの車両構造について、バリアフリー化を中心に 心身障害者や高齢者にとって利用しやすい乗降 口、車内設備・案内装置等の工夫を多数提示して いる。
しかし、同調査から既に1 0年が経過し、車両構 造のバリアフリー化等に関する技術は、ノンステ ップバスの実用化に代表されるようにめざましい 進歩を遂げている。
そこで本調査では、1 0年ぶりに同モデルデザイ ンの内容を見直し、現在及び近未来の技術力で達 成されうる鉄道・バス・タクシーのユニバーサ ル・デザインの策定・提示を目指すものである。
2.本事業の計画と調査研究内容
(1)事業の計画
本調査は、2カ年計画で実施する。11年度は、
鉄道・バス・タクシー等の車両構造の改善点に 関する国内の利用者に対する要望調査、欧米の 先進事例調査、構造改善のコンセプトの検討を 行う。1 2年度では、車両構造改善の部位別、設 備項目別の「ラフスケッチ」を多数作成し、検 討を重ねた上で最終的な「姿図」(モデルデザ イン)を作成し提示する。
上記の調査計画を受けて、平成11年度では 次の調査項目を実施した。
(2)11年度の調査研究内容
Ⅰ 対象範囲(人、交通機関)の検討
Ⅱ 車両構造の改善点に関する利用者要望調査
Ⅲ 車両構造の改善点に関する事業者要望調査
Ⅳ 欧米の先進事例調査
Ⅴ 構造改善に関するコンセプトの検討
Ⅵ まとめと今後の課題